F-16はアメリカ合衆国のジェネラル・ダイナミクス社が開発した第4世代ジェット戦闘機、1992年にジェネラル・ダイナミクス社のロッキード社への軍用機部門の売却と1995年のロッキードのマーチン・マリエッタ併合によるロッキード・マーティンへの改称により、現在はロッキード・マーティン社の製品となっている。商標はファイティング・ファルコン(Fighting Falcon:戦う隼)で登録されているが、米空軍のパイロットや整備員の間で非公式な愛称として「バイパー」[1]や『エレクトリックジェット』[1]と名称も使用されている
バージニア州フォールズチャーチに本社を置くジェネラル・ダイナミクス社が開発した軽量戦闘機で、当初は昼間軽量戦闘機として開発されたが、後に全天候対空/対地攻撃能力を付与された。CCV技術による飛行制御を行い、フライ・バイ・ワイヤを採用している。初飛行は1974年2月2日、但しこれに先立つ1月20日のタキシングテスト中にロ−ル軸のふらつきが発生[2]、機体の損傷を防ぐため離陸、テストを行っていた飛行場周辺を飛行している。[3]。
アメリカ空軍では高価なF-15と、安価な本機での「Hi-Lo-Mix」運用が行われた。また、世界20ヵ国以上の空軍で採用され、4,000機以上が製造された実績から、ベストセラー戦闘機と評される。これらに加え、F-16をベースとして F-CK-1(台湾)やF-2(日本)が開発されている。
制式採用はされなかったものの、派生型として戦闘爆撃機仕様のF-16XLがある。
F-16の後継機としてF-35が開発中であるが、2025年以降も運用され続ける模様である。
開発経緯
F-16開発の契機は、アメリカ空軍内部のファイター・マフィアと呼ばれる集団の中で、先鋭的なグループ[4]が制空戦闘機F-X(後のF-15 イーグル)に対する評価から、旧ソビエト空軍戦闘機部隊に対して、質だけではなく量でも凌駕する為[4]にF-Xを導入コストが安く[4]て稼働率の高い[4]、F-XX(軽量戦闘機)で補佐する事を発案した[4]ことに端を発する。安価な新型戦闘機の出現がF-15導入の予算に影響すると懸念した空軍のファイター・マフィアを始めとするF-15推進派は、ジョン・ボイドを始めとする先鋭的なグループの動きを嫌っていた[5]が、当時国防副長官だったデビット・パッカードがこの計画に興味を持った事[2]から、F-XXのテストが認められ[2]、先進技術の実証機という名目の軽量戦闘機(LWF:Light Weight Fighter)計画としてF-XXの開発計画を開始した[2]。
1972年1月6日に提示したRFP(要求提案)[6]は、通常は詳細な性能や想定される作戦等も記載され200ページ[6]に対しわずか21ページ[6]と言う簡潔な物で、20,000lb(約9トン)級の小型の機体[6]で高い機動性を持ち[6]、搭載される電子機器は単純[6]で、最高速度はM2[6]。設計案のうち2案による比較テストを行うが量産や制式化は考慮しない[6]とされていた。この要求提案を受け取ったのは9社の航空機製造メーカー[6]であったが、グラマン(F-14)、フェアチャイルド(A-10)、マクドネル・ダグラス(F-15)、ロックウェル・インターナショナル(B-1)といった、すでに新型機の受注を得ていた企業は、米国防総省の社会主義的な受注調整[7]の対象になる事が見込まれた為、開発参加を辞退[6]した。この提案に応じたジェネラルダイナミックス、ノースロップ、ボーイング、ボート、ロッキードの5社[8]のうち、1972年4月1日にジェネラル・ダイナミクス社とのYF-16、ノースロップ社とのYF-17 コブラ建造の契約を締結した[6]。ロッキード社スカンクワークスが提案したCL-1200ランサーは、スカンクワークス初代ボスのクレランス・ケリー・ジョンソンの暴走[9]により、F-5A/B後継海外供与機に続き採用されなかったが、二代目ボスベン・リッチは、この際提出したカタログスペックはF-16Aの物その物であったとしている[10]。皮肉な事にケリー・ジョンソンの死去後、ロッキード社はF-16の生産をジェネラル・ダイナミクスから引く継ぐ事になった。
YF-17とYF-16F-4の陳腐化とF-15の単価上昇によりLWFの実用化の動きが具体化し、1974年3月7日にLWFを1980年代に装備するACF(Air Combat fighter:空戦戦闘機)として発展させ、3年間で300機導入した場合の機体単価を300万ドルに納めると言う計画[6]を上院軍事委員会に提示し、同年4月27日にACFの飛行審査を決定した。
1974年5月にNATOのベルギー、デンマーク、ノルウェー、オランダの代表団がF-104の後継機検討のために訪米し、アメリカ空軍側から7月にACFの勝者をアメリカ空軍で制式に採用することを保証し、当初1975年のQ2とされていたACFの決定は1975年1月に前倒しされた。[11]
YF-16の正式な初飛行は1974年2月2日で、新型のゼネラル・エレクトリック社YJ101を使用したために6月9日まで初飛行の遅れたYF-17との審査はそれぞれ2機を使用し、YF-16が347回、YF-17が288回の飛行を行い、1975年1月まで続いた。1975年1月13日に、機動性、航続距離、加速性、F-15と共通のエンジンの各点で優位としてF-16の制式採用を公表した。
ジェネラル・ダイナミクス社は制式採用決定の翌14日に正式な提案書を提出し、同日提示されたSAABスカニア社のビゲン37Eやダッソー・ブレゲー・ミラージュF1との競争となり結果347機の受注に至っている。
特徴
基本構造
F-16は当初から、胴体と翼を一体で整形する技術(ブレンデッドウィングボディ,Blended Wing Body, BWB)や機体の操縦をコンピュータで補正・制御する技術(デジタル フライ・バイ・ワイヤ,FBW : Fly By Wire)といった革新的技術を多く取り入れた設計となっていた。特に実用軍用機として最初に使用したデジタルFBWはF-16の特性に大きく貢献している。
F-16を正面からとらえた写真、主翼と胴体が緩やかな曲線で一体化されている。従来の操縦系では操縦桿やフットペダルと舵面を機械的に接続していたが、FBWでは一方の端からの入力を電気信号に変換してワイヤーつまり電線で伝送し他端のアクチュエータを制御している。この電気信号への変換は情報伝達のコンピュータによる補正を容易にした。
航空機では機体設計により静安定性が定まる。静安定性を高めると直進しやすいが旋回しづらく、低めると旋回しやすくなる半面で直進させるのに頻繁な補正操舵が必要となる。パイロットからの入力を基準としてコンピュータで補正操舵を追加し、逆に舵面の頻繁な変化による入力をキャンセルしてパイロットに伝えることが可能になると、静安定性を低めて旋回性を高めた機体でも静安定性の高い機体のような操縦性を実現できるようになった。このように制御能力の向上を前提として設計された乗り物が運動能力向上機(Control Configured Vehicle:CCV)である。旋回性能の向上に翼面荷重の低下以外の対策を取れたことは抗力の増大を押さえ、特に低空域での運動能力に寄与している。
さらに、FBWは操縦桿の位置を両足の間という一般的な場所から操縦者の右側への移動してシートのリクライニング角を30度と深めて対G能力を向上させている。操縦桿自体も数mmしか動かず[12]、操縦桿を動かした量ではなく操縦桿に加わる圧力を感知してそれに応じて舵面変角量を制御している。
エンジン
プラット・アンド・ホイットニー社製のF100もしくは、ゼネラル・エレクトリック社製のF110エンジン一基を搭載し、胴体の下にインテークが一つだけという構成は、飛行機の歴史の中でも極めて少なく本機の外観の特徴となっている。 小型機ではアフターバーナーを使用して超音速を持続するための大量の燃料を搭載できない上、格闘戦は超音速域ではなく遷音速域で起こると想定しているため、遷音速域での効率を重視して単純軽量化を優先したランプもショックコーンもない固定式インテークとなっている。このため軽量な機体と高出力エンジンの組み合せでありながら最高速度はマッハ2に留まっている。
F-16と搭載可能な兵装、自由落下爆弾やロケット弾ポッド、短距離空対空ミサイルのサイドワインダー等。
ギリシャ空軍のF-16D Block 52+と搭載兵器、開発当初想定されていなかった、ヘルメット照準に対応するIRIS-Tや撃ちっぱなし・同時多目標攻撃能力を持つAMRAAM、誘導爆弾や対レーダーミサイル、スタンドオフディスペンサーが主体となっている。
武装
M61A1 20mmバルカン砲を固定武装とし、主翼先端部、及び主翼下にAIM-7やAIM-9を搭載可能。これに加え、無誘導爆弾やクラスター爆弾、レーザー誘導爆弾、ロケット弾などが搭載可能となっている。
近年ではAIM-120 AMRAAMなど、新型ミサイルや爆弾の運用能力取得が行われている。また、採用国独自の改修がなされる場合もある。
運用
元来、格闘戦を目的とした軽量戦闘機ながら十分な対地攻撃能力を持ち制空戦闘と対地攻撃に使用できるため「スウィング・ロール」と呼ばれた。2008年現在、この種の機体はマルチロール機と呼ばれる。低速・低空での運動性も良好であるため湾岸戦争前の時点ではA-10の後継の座をA-7F[13]と派生型機のA-16[13]、AV-8Bとで争って居たが、A-10は湾岸戦争の実績により再評価された結果として、延命改修の上2028年まで使用した上でF-16ともどもF-35で更新される予定となっている。
サンダーバーズ仕様機アメリカはF-16が開発される以前にF-15を開発したが、高価であるためアメリカ軍でも十分な数は配備できなかった。そのためにF-16を並行配備して作戦機数を確保している。この結果、機数の上でF-16はF-15を大きく上回ることとなった。
大型のF-15で翼面荷重を抑えるための大きな主翼は低高度では抗力が大きく運動能力に不利に働き、高度300m以下での機動は軽量小型かつ運動性向上を翼面荷重低減だけに頼っていないF-16に分があり、対空・対地攻撃任務を率なくこなす能力を持つ[14]ため、4,000機以上がアメリカ合衆国及び20カ国の為に製造された。[15] 21世紀現在、アメリカ空軍その他で幅広く運用中であるが、2012年頃より配備開始予定のF-35 ライトニングIIで更改が進むとされる。ただしアメリカ空軍は約8,000飛行時間耐えられるF-16を2025年まで運用できるよう改良する予定で、またF-16E/Fはステルス性を除けばF-35に相当の能力を持つため、アラブ首長国空軍などF-16E/Fを運用している国では2025年以降も運用されることが予想される。
F-16は日本のF-2支援戦闘機の原型になっており、また、台湾のF-CK-1 経国は、F-16級の能力を目標にジェネラル・ダイナミクスの協力下で設計されたため、類似点の多い機体となっている。
このほか、サンダーバーズもF-16を採用し、トリコロールカラーによる派手なカラーリングが施された。
派生型
F-16は生産数の多さから同一マイナーコード中でも生産ブロックにより相当に仕様が異なるため多様な派生型を持つ。
試作機
YF-16(モデル401)
F-16の試作機。当初はF-15を補助する昼間戦闘機とする計画だったため、簡素な射撃管制用のレーダーFCSを搭載している。総生産機数:単座型2機のみ
F-16 FSD
機体の大型化とF-4の更改機とするためにレーダーの各種機能や全天候航法システムを追加。総生産機数:単座型6機、副座型2機、合計8機
F-16A/B
F-16ABlock 1
F-16の初期型
Block 5
機体の機械としての信頼性と生産性の向上[16]
Block 10
Block 5の改良型、機体の機械としての信頼性と生産性の向上[16]
Block 15(F-16A+/B+)
最初のアップグレード型。対地攻撃兵装時にピッチ方向の機動性を確保する為、水平安定版の30%大型化[17]、インテーク側面へのハードポイントと配線の追加[16]等の改修を行った。当初ノルウェー向けの機体のみ、垂直尾翼基部後部にドラッグシュートを装備[18]していたが、ベルギー[19]とオランダ[20]も後日ドラッグシュートを追加した。
イタリア空軍のF-16ADFF-16 ADF
空軍州兵のF-106、F-4C後継機[21]として、マクドネル・ダグラス(現:ボーイング)F-4能力向上型/F-15A[21]、ノースロップ(現:ノースロップ・グラマン)F-20[22]、ジェネラル・ダイナミクスF-16A/B改修案(F-16ADF)[22] F-16C/D新造機[22]と言った候補の中から、1986年10月[22]に相対費用効果に優れていた[22]F-16A/B改修案が採用された[22]。全天候要撃を行うためにF-16A+/B+にAIM-7用のイルミネーターの追加[23]と、AIM-120用のデータリンクを追加装備[23]。この形式のA型は垂直尾翼基部にAN/ARC-200HF無線機が収容されたため、垂直尾翼基部が左右に拡張[23]や機首左側面のサーチライト[23]、A/B型共通でインテーク下側[23]やキャノピー前方[23]に追加されたIFF機器用のアンテナ[23]により在来型のBlock 15との識別は比較的容易。
F-16 AM (MLU)
オランダ、デンマーク、ベルギー、ノルウェー保有のF-16 Block 15の近代化改修型。Block 4x/5x相当の電子機器が搭載されている。
Block 20
F-16A/Bの機体にBlock4x/5x相当の機材を搭載したMLU仕様機として製造された機体に、Block 15からBlock 25への生産移行した際に飛ばしたBlock 20という型番を割り当てた機体。
Block名 Block 1 Block 5 Block 10 Block 15 Block 15 OCU Block 15 ADF Block 15 AM(MLU) Block 20
全幅 9.45m[24] 同左 同左 同左 同左 同左 同左 同左
全長 15.11m[24] 同左 同左 同左 同左 同左 同左 同左
全高 5.01m[24] 同左 同左 同左 同左 同左 同左 同左
自重 6.60t[24] 6.64t[24] 同左 同左 同左 同左
最大離陸重量 14.98t[24] 17.01t[24]
エンジン F100-PW-200 同左 同左 同左 F100-PW-220 同左 同左 同左
FCS AN/APG-66 同左 同左 同左 同左 AN/APG-66(改良型)[23] AN/APG-66(V)2[25] 同左
レーダー警戒装置 ALR-69[26] 同左 同左 同左 ALR-69(V)[25] 同左 同左
ワンス ボデオ モンクレ シガト ドレア パーコレ スタート メジャー ピーエイ ソフトダ ロッド たむぽえ フレム パンジー 羅生門 ブリスベ 便利に イチゴ ストッ ニット えいか ハンド ジース カーネリ ドラー あいら パンゲア オブラ ジンサ スカジー ドルペッグ うたまくら えいこう モルディブ たいゆう ニオブ 美女と野獣 ドーマ トップ トパイ ダウンベ ナビルポ ナトリ ろぎょ オーニソム 雪舞い マルチ タイトルラ トリ キャメ
F-16 Block 30Block 25
A/B型の能力向上版。改良されたレーダーへの変更や広角HUD(在来型の視野角度10°に対し15°)を搭載[27]。搭載機器の変更により垂直尾翼基部の厚みを増し前に向かって延長している。機体構造の改良により機体後部のパネルラインが以前の機体と変わっている。
Block 30/32
エンジンをF-110系列に変更。Block 30後期生産型(86-0262以降)[28]からインテークを拡大したモジュラー・コモン・インレット・ダクト (MCID) に交換してエンジンの吸気効率を改善し、カタログスペックから低下していた低中高度のエンジン出力を改善している。このMCIDはエンジンノズル形状の違いとともにBlock 40からF110搭載機とF100搭載機の識別点となっている。インテーク部にRCS軽減処理を行った事により、在来型よりレーダーでとらえる事が難しくなった[29]。
F100搭載機のインテーク
F100ノズル部
F110搭載機のインテーク
F110ノズル部(写真はF-2のもの)
F-16NF-16N/TF-16N
アメリカ海軍のアグレッサー部隊による異機種戦闘訓練用に開発された型。第126戦闘飛行隊(VF-126 Bandits)で運用された。Block 30前期型[30]に相当。機銃を下ろし、主翼の構造材の強化[30]と空戦機動記録用機材を追加[30]。1991年の定期点検で『空軍では問題ないが海軍の基準では問題となるレベル』で主翼にクラックが発見されたことにより飛行停止。[21]改修した上で運用再開の計画もあったが予算の問題から実行されず[31]、1994年に海軍の保有する全てのF-16が飛行停止[31]となり、翌1995年に退役した[30]。多くの機体はデビスモンサンや博物館に送られたが、一機の海軍のF-16は空軍の演習場で標的として破壊された[30]。
Block名 Block 25 Block 30/32 F-16N(Block 30)
全幅 9.45m 同左 同左
全長 15.3m 同左 同左
全高 5.01m 同左 同左
自重 7.16t[32]
最大離陸重量 17.01t[33]
エンジン F100-PW-220 F110-GE-100/F100-PW-220[8] F110-GE-100[8]
FCS AN/APG-68[8] 同左もしくはAN/APG-68(V)[34] AN/APG-66
レーダー警戒装置 ALR-69[26] ALR-69[34] 無し[35]
Block 40/42(F-16CG)
ナイトアタックファルコンと呼ばれる機体。LANTIRN、レーザー誘導爆弾の運用能力と地形追従飛行への対応、LANTIRNの光軸への干渉により従来の着陸灯の取り付け位置変更[21]。 GPSによる航法支援を追加。フライワイヤバイのデジタル化[36]と降着装置の対応[37]、タイヤとホイールの大型化による主脚カバーの形状変更[21]。LANTIRNに対応するため視野角度がBlock 25/3Xの15°から18°大型化した[27]GECマーコーニのLANTIRN-HUDへの変更[8]。計画ではF-16XLのF-16E/Fに続き、Block 4XはF-16G/H、Block 5XはF-16J/K、と言う形式になる予定であった[8]が、納税者が新型を開発していると誤認し当時開発中であったF-22の調達に影響を与える可能性があったため[8]、在来型のC/Dと言う名称で調達を続けた[8]。しかし同一機体の大量保有と常に改修が行われている状況下での機体の識別が必要な為[8]、Block 4X型をF-16CG/DG[8]、Block 5X型をF-16CJ/DJ[8]として区別する様になった。
F-16Dブラキート
IDFがBlock 30/40の複座型を防空網制圧 (SEAD) 機として製作した独自改修機。機体背面にイスラエルの企業が製作した大型のドーサルスパインを機体組み立て時に組み込んでいる。現在では同様の大型のドーサルスパイン付F-16Dをシンガポールやギリシャ、ポーランド等も採用している。
Block 50/52(F-16CJ)
在来型から改修されたGPS/INS機器の搭載と空対空ミサイルのボアサイト射撃、ハープーン及びJDAM等のGPS誘導兵器への対応対応。機体のGリミット引き上げ[25]と出力増強型F100/F110へのエンジンの変更[25]。液体酸素ボトルを機上酸素発生装置への変更[38]、新規でドライベイ式消火器を設置[38]。
Block 50D/52D
Block 50/52に防空網制圧 (SEAD) 任務用装備として、フルスペックでのAGM-88 HARM対レーダーミサイル運用能力とインテーク右下側面にASQ-213 HTS(HARM照準システム)ポッドの装備とを生産段階で追加。
F-16 CCIP
アメリカ空軍がF-16のパイロットと整備員への教育とメンテナンスの簡易化のための共通仕様実行計画 (Common Configuration Implementation Program) によりBlock 40/42/50/52の艤装を統一した改修機体。機体の状況により改修点が事なり、JHMCSへの対応は648機[39]、リンク16は517機[39]が計画対象となっているほか、Cj/DJ限定のモノクロMFDのカラー化[39]や、AN/AAQ-14やAN/AAQ-33とASQ-213の並行運用を可能にするため、ASQ-213の取り付けをインテーク左下側面へ変更[40]と言った改修も並行して行われる。
KF-16
F-16C/D Block 52を韓国国内でノックダウン生産した機体。生産段階でCCIP仕様機相当の機体儀装を実施している[41]が、IFF及び電子戦機器が他国のF-16CJ/DJと細部が若干異なるほか、C型は在来型の一枚板のHUD装備している[42]のに対して、D型はLANTIRN-HUD[42]を装備している。
Block 50+/52+
F-16C/D Block 50/52の更新型。AN/APG-68(V)9レーダー搭載。機体構造を変更して機体背面へのCFT(コンフォーマル燃料タンク)の装備が可能になった他、イスラエル空軍と同様にドラッグシュート収容部の後方警戒レーダー用スペース転用や大型のドーサルスパインを取り付け電子機機材追加を実施。
F-16
イスラエルへの輸出型。block52+の複座形機体背面にIDF/AFが保有するD型と同じように電子戦の機材を追加。
LANTIRNポッドは、インテーク下部にこのような形で装備されている。
ポーランド空軍のF-16D Block 52+ 機体上部のドーサルスパインにより機体形状が大幅に変わっている。
敵対国中枢部へのディープストライクも可能となったF-16I sufa、機体上部の丸みを帯びたコブは増槽となっている。
Block名 Block 40/42 Block 50/52 Block 50+/52+ Block 60/62
全幅 9.45m 同左 同左
全長 15.3m 同左 同左
全高 5.09m[35]
自重 8.62t
最大離陸重量 19.18t[35] 22.68t[43]
エンジン F110-GE-100/F100-PW-220[8] F110-GE-129/F100-PW-229[25] F110-GE-129/F100-PW-229[25] F110-GE-132/F100-PW-232[44]
FCS AN/APG-68(V)[8] AN/APG-68(V)5 AN/APG-68(V)9[45] 同左[45]もしくはAN/APG-80[44]
レーダー警戒装置 ALR-69[34]もしくはALR-56M[34] ALR-56M[46]
アラブ首長国連邦空軍のF-16E Block 60Block 60/62
F-16C/D Block 50の発展型新造機。CFTの標準装備、 AN/APG-80 AESAレーダー、FLIR(前方監視赤外線)の装備、F110-GE-132(Block 60)もしくはF100-PW-232(Block 62)(いずれもアフターバーナー時推力14.71t)へのエンジン換装、コクピット改修、JHMCSによるAIM-9Xのボアサイト射撃能力の付与等、改修点は広範囲に及ぶ。コックピットは従来のF-16から一新されて完全なグラスコックピットとなっている。主な改良点は大画面カラー液晶ディスプレイ3基、新型アップ・フロント通信/航法/識別操作パネル、大型ヘッドアップディスプレイ、暗視ゴーグル対応の照明となっており、ディスプレイに状況認識に優れたマップを表示可能となるに至っている。初号機のF-16Fは2003年に初飛行した。アメリカ空軍では新造機の採用計画がないため輸出専用の機体となるが、アメリカ空軍は現用のF-16C/D Block 40/42と50/52へ実施予定のCCIP改修によりF-16E/Fと同等の能力に向上するとしている。海外での採用ではアラブ首長国連邦と間でBlock 60が55機とBlock 62が25機の輸出契約を締結した。当初はF-16C/D Block 6Xであったが、他にシンガポールのA-4後継F-X提案された際に、競合機のスーパーホーネットやF-15T(GS)と同世代の航空機と言う印象づけの為、新規のマイナーコードを割り当てた。このような政治的な形式名の調整は、F-100やF-20でも行われいる。F-20は飛ばしたナンバーの押し付けを行わなかった事が、後にある種の騒動へと発展した。
2008年10月末現在開発中の発展型
F-16IN
インドのMiG21更新FXに提案されている形式[47]、F-16E/Fをベース[47]にアナログ計器の全廃[47]やRCS軽減目的での改修[47]が盛り込まれる予定[47]であるが、一旦はLMの公式webサイト上で公開されていたカタログが非公開になる等[47]、具体的な仕様は確定されていない[47]。
採用されなかった派生型機
F-16/76F-16/79
1977年にカーター政権の「NATO諸国とイスラエルにのみF-16の輸出は許可される」という武器輸出政策に対して国防総省の資金により輸出仕様として規制対象のF100エンジンを輸出実績のあるJ79の発展型J76-GE-119に換装した機体[17]。性能はF100搭載のF-16とF-5の間とされ限定的ながらマルチロール能力も持つはずだった。オーストリア、ヨルダン、マレーシア、ナイジェリア、シンガポール、台湾、タイに対して売り込みが行われ、シンガポールが一旦は採用を決定したが、武器輸出規制の緩和によって、F-16A/Bの全ての導入希望国への販売が可能となったため、採用なく終わった。この規格の機体が採用されていた場合、形式名はF-16E(単座)/F(複座)となる予定であった[17]。
F-16/101
F-15に搭載されたP&W F100のスタグネーションストール問題に対する保険として計画の始まった、B-1Aに搭載されているGE F101の発展型に換装した機体[17]。F-101が搭載されるF-16は量産されなかったが2005年時点でアメリカ空軍のF-16の大部分はF-101の発展型であるF-110系列のエンジンを搭載。
F-16XL
ジェネラル・ダイナミクスの自社企画として開発の始まった派生型の一つである。F-16のコクピット後方と胴体後部にプラグを挿入し全長を延長し、主翼形状を大型のデルタ翼にした先進戦術戦闘機。F-15Eに敗れ、採用にはいたらなかった。この規格の機体が採用されていた場合も形式名はF-16E/Fとなる予定であった。
RF-16
A-16(F-16 CAS)
A-10後継の近接航空支援型として開発されていたが、湾岸戦争の戦績によってA-10が再評価された事や冷戦終結に伴う軍縮による部隊数削減、A-16向けに開発された通信機材であるCP-1516/ASQやATHS(自動目標伝達装備)[48]やGAU-8の派生型であるGAU-13ガンポッド[48]、FLIR[48]が在来型に搭載された事による、在来型F-16の近接航空支援対応により、F-7F共々計画自体が立ち消えとなってしまった。この形式の機体はF-16 ADFと同様に決定時点でアメリカ軍が保有していたF-16Cからの改造と、Block 5X新造機に生産段階で対応装備を搭載したBlock 6Xの製造を予定していた。
F-16Bワイルド・ウィーゼル型
ジェネラル・ダイナミクスの自社企画として製作され、この種の航空機を必要とする幾つかの国が興味を示した[49]が、受注を得られなかった。後にF-16Dブラキート、Block 50xDやBlock 50+/52+と言ったワイルド・ウィーゼル任務への投入可能なF-16が開発されている。
F-16AgileFalcon(アジャイルファルコン)
F-16AFTIYF-16 CCV
F-16/FSW
X-29のジェネラル・ダイナミクス案、計画のみ[50]
AFTI/F-16
F-16 VISTA
特殊用途機
QF-16
無人標的機
GF-16
整備教育用の教材機
F-16をベースに設計された機体
F-16とベースとした戦闘機や練習機の開発が行われたことも、特筆すべき点である。
F-CK-1(経国戦闘機)
中華民国(台湾)がF-16の開発元ジェネラル・ダイナミクスと共同で開発した戦闘機。両者の案を合併したため、設計に影響が見られる。F-16の輸出が許可されたため、製造数減少。130機。
F-2
日本の航空自衛隊が運用するF-1支援戦闘機の後継として、F-16を元にし、防衛庁技術研究本部(現:防衛省技術研究本部)が主契約会社を三菱重工業株式会社に認定してロッキード・マーティンと共同開発した支援戦闘機[51]。98機。機体形状はF-16に酷似しているが、各所のサイズ等には差異がみられる。
T-50
ロッキード・マーティンの支援を受けKAIが開発した高等練習機。派生型として軽攻撃機A-50が計画され、軽戦闘機F-50も検討されている。
採用国
F-16を採用した国(青)と、購入を検討したあるいは検討中の国(黄)アメリカ合衆国 2,244機
(空、海軍)海軍はアグレッサー部隊として導入
バーレーン 22機
ベルギー 160機
(ライセンス生産、初期海外カスタマー4カ国で製造された部品をオランダもしくはベルギーで組み立てた機体を保有)
オランダ 213機
(ライセンス生産、初期海外カスタマー4カ国で製造された部品をオランダもしくはベルギーで組み立てた機体を保有)
ノルウェー 74機
(ライセンス生産、初期海外カスタマー4カ国で製造された部品をオランダもしくはベルギーで組み立てた機体を保有)
デンマーク 70機
(ライセンス生産、初期海外カスタマー4カ国で製造された部品をオランダもしくはベルギーで組み立てた機体を保有)
ベネズエラ 28機
チリ 28機
(オランダから購入した中古F-16A/Bとアメリカ製の新造C/Dを保有)
台湾 150機
(「経国」原型およびF-16A/Bを保有)
エジプト 220機
ギリシャ 140機
インドネシア 12機
イスラエル 260機 + 102機(予定)
(A/B(新造機と中古機)/C/D/I(全て新造機)の各形式を保有、IAIラビ原型)
イタリア 34機
(タイフーンの初期作戦能力獲得とF-104の退役のタイムラグで生じ防空能力の低下を補うためリース)
韓国 180機
(C/Dの完成機及び自国内でのノックダウン生産機、ライセンス生産したKF-16を保有、T-50原型)
オマーン 12機(予定)
パキスタン 40機 + 71機(予定)
但し前払金65800万ドルの支払いを済ませていた1989年発注分が、核開発疑惑により引き渡されず。インドネシアやニュージーランドが、この宙に浮いた機体の導入を計画していたが諸般の事情によって断念した。デビスモンサンで保管されていた機体は2000年代になってからテロ戦争への協力の見返りとして一旦パキスタンに引き渡される事が決定したが、パキスタン側はF-16の新型を購入の上で保有しているF-16の改修を選んだ為、アメリカ軍が引き取る事となったが、空軍ではシステムコマンドで使用する2.3機のみを必要とした為、残りの引き取り手の無いF-16はアメリカ海軍のアグレッサー部隊で使用されている。
ポーランド 48機
ポルトガル 45機
シンガポール 60機
タイ 61機
トルコ 240機
自国内でのライセンス生産機だが、引きわたし時に近隣の米軍基地でタッチ&ゴーを行い、形式上いったん米軍に納入した機体を米軍からFMS(有償軍事援助)形式で購入
アラブ首長国連邦 80機
ヨルダン 34機
ルーマニア 48機